知識的能力 ⇒ 知る・知っている
医療・介護従事者は、専門職(資格者)集団です。
国家資格・自治体の資格等、事務系以外は何らかの資格を有しています。
いわゆる免状を持っている人達ですから、素人から見れば、知識的能力は備わっていて当然な人達に見えます。
逆に、なければバカにされる材料になってしまう恐れすらあります。
正しいプライドを持って、しっかりと時代に乗り遅れないよう進化・成長していただきたいと思っています。
正しいプライドとは、「私を誰だと思っている。俺は医師だぞ。」という自己評価ではなく、第3者から、「さすが看護師(医師)さんですね!」と感謝されることです。
医学部・看護学校・介護専門学校等で「学生」として学んだ事は、極端に言えば受験のための知識です。
「社会人」になったからには、現場で発揮できなければ専門知識とは言えません。
私は、社会福祉士と介護支援専門員の資格を有しています。引退しましたので、現在では知識に自信はありませんが、現役時代は、それなりにお役に立てていたと思っています。
また、専門領域の知識だけでは、人間的に厚みが出ません。一般常識や社会情勢等、バランス良く身に付けてもらいたい。
新聞は、ぜひ出勤前に読んで行きましょう。患者さんや利用者さんとの会話も弾みます。
ためになる書籍もたくさんあります。医療機関や介護事業所にお勤めの皆さん、もっともっと読書をしましょう。
専門書に限らず、小説や趣味の本等、色んな人の考え方や生き方に触れることができます。
技術的能力 ⇒ 使う、できる
いくら知識や技術を身に付けても、使わなければないのと同じです。
技術とは、知識を表現する技術でなければなりません。ただの動作であってはならない。
簡単な例えで、包帯を巻くとします。巻くだけなら、私でも出来る処置です。
看護師が巻いた仕上がりと、私が巻いた仕上がりに差がなければ、技術とは言えません。
知識が専門であるように、「技術も専門家」でなければならないのです。
看護師・介護福祉士等、専門家としての技術を学んで、免状をもらった人達です。武士の時代であれば、「○○道場新陰流免許皆伝」です。時代劇が好きなもので済みません。
「看護婦」と言われた時代が長くありましたが、今では、「看護師」の師は医師と同じ「師」です。
弁護士や公認会計士等の士は、武士の「士」から来ています。「士」が付く人は、それなりの腕前(お主できるな!)がなければ、プロとは言えません。
知らないから使えない = 問題外
知っているが使わない = 知らないのと同じ
知っているから使っている = プロ
態度的能力 ⇒ 使う時の態度(技術の見せ方)、表現力
たとえ立派な知識・技術があったとしても、表現が悪ければだいなしです。
分かりやく言えば、どんなに接遇の研修会でマナーを学んだとしても、挨拶も電話応対もろくにできない。職場に、ゴミが落ちていても拾わない。
感謝・感心・感動を呼ぶ言動(表現)になるよう、意識しなければなりません。
どんなに知識・技術が身に付いたとしても、おうちゃくではいけないのです。
幹部となれば、その手本となる言動が必要であり、時にはスタッフのモチベーションを高めてあげることも重要な役割です。
モチベーションを高めるために「目標・方針・夢」を持つ
知識・技術があるのに、「業務態度が悪くなる時」とは、どんな時でしょう。
何らかのきっかけや理由により、モチベーションは低下します。皆さんも少なからずご経験があるかと思います。
では、モチベーションを高める方法として、何があるのか。
私は次の事を研修生に問いかけています。
①なんの為に仕事をしていますか?
②どんな看護師・介護士を目指していますか?
③どんな職場に勤めたいですか?
④給料高くしたいですか?
⑤休み、多く欲しいですか?
⑥旅行に行きたいですか?それはどこへ、何泊?
⑦車欲しいですか?車種は。タイプは?
等々、目標や夢になるような題材を探し出すためです。
大小かかわらず、欲を持たなければ人は頑張れません。また、夢だけ持っても実現は不可能です。
よく現場で失敗を繰り返す職員は、「私にはこの仕事は向いていない。私には、能力がない。」と、すぐ悲観的になります。
面接時に、「あなたは、失敗を繰り返さないために、何か新たな取り組み(本を読む、研修を受講する、先輩に教わる等々)をやりましたか?」、と聞いてみます。
答えは、決まって「いいえ、何もしていません」。
何の努力もせず、できるようになるはずがありません。
私がお勧めする自転車理論とは
私がよく研修会で話している、「自転車理論」という考え方があります。
小さい頃、「自転車に乗りたい、乗れるようになりたい。」と思って一晩寝たら、朝乗れるようになっていたか?
魔法使いでもあるまいし、あり得ない話です。
乗りたい、乗っている友達を見て「私もああなりたい。」と、心から思ったはずです。
動機づけは人により多少の違いはあっても、「乗れるようになりたい!」とうモチベーションは、非常に高かったはずです。
だからこそ、何度転んでも、膝から血を出しても乗り続けた。
そんな記憶は残っていませんか。
誰しも、動機づけに使える目標・夢は存在します。
幹部として、スタッフの中に眠っている意欲をうまく引き出してあげましょう。