法定労働時間と実質労働時間
労働基準法では、ご存知の通り週40時間、1日8時間が法定労働時間です。
この業界の中だけで育った方は、これ以上働けば残業手当が付くのが当たり前、と解釈している人が多いのではないでしょうか。
確かに、36協定(時間外に関する労使協定)に基づき、法律で定めた労働時間を超えれば、普段の最低1.25倍以上、深夜帯では1.35倍以上の割増賃金を支払わなければなりません。ここに大きな問題が、隠れています。
一般企業の場合、残業には変わりはありませんが、生産性が伴わない残業は賃金の対象とは考えてもらえません。何故なら、生産性がない労働に賃金を支払っていては、倒産してしまうからです。
直接的生産性が伴わない業務も確かにあります。誤解があってはいけませんが、例えば業務時間外に、ボランティアとして利用者に何かをしてあげた後にタイムカードを打刻するようなケースです。
「サービス残業」という言葉 どうとらえていますか?
具体的に「サービス残業」という言葉がありますが、一般企業と医療・介護業界では、意味のとらえ方が少し違うのでは、と感じる場面があります。
「実質労働時間」とは、実も質も伴う労働時間です。「今日の残業の理由は何ですか?」。仕事に慣れていないから、処理するのが遅いから。それとも、患者さん・利用者さん・ご家族の相談を時間制限なしに聞いていたから。
果たして皆さんの残業は、「実も質も伴った仕事内容」でしょうか。時間外であれ、仕事です。もし、「サービス=無料」という考え方を持っているとしたら、捨てるべきです。医療・介護業界は、サービス業に分類されます。
あなたの作業効率 ⇒ 時間生産性は(報酬)? ⇒ 自らの時間人件費は?
残業時間を減らす方法
研修会参加者に、「残業、減らしたいですか?」と質問すると、100%と「はい!」と元気よく返事があります。
私もムダな残業は大嫌いです。ですから、今も極力勤務時間内に仕事を終わらせ、さっさと退社しています。
若いころも同じ考えで仕事に取り組んでいましが、こっぴどく上司に叱られた経験があります。「おれより先に帰るとは、なに様だ!」と怒鳴られていました。
時間外であろうと上司が仕事をしていれば、もちろん率先して手伝う主義です。今も昔もこういう上司は、論外ですが。
さて、「あなたならどんな方法で残業を減らす、又は無くしますか。」と、研修参加者に質問してみると、「うちの職場は残業ばかり」と不満をいう人に限って、「職場が悪い、上司が悪い」と答えます。
本当にそうなのでしょうか。では、改善案の一つでも、職場・上司に提案してみたことがあるのでしょうか。あるいは、自ら実行してみましたか???
残業を減らすには、
①仕事量を減らす
②仕事のムダ・ムラを減らす
③仕事をする職員を増やす(ムリを減らす)
④仕事の処理能力を上げる
等々ありますが、陰口を言うばかりでは何も変わりません。
結論=生産性が上がらなければ 給与も休暇取得も 増えない、増やせない
☆時間生産性が上がらなければ、「給与は上がらない」ではなく、上げられません。
☆生産性が上がらなければ、職員は「増やしてもらえない」ではなく、増やせません。
☆職員が増やせなければ、休暇は「取らせてもらえない」ではなく、取れません。
患者さんや利用者さん、仲間への迷惑を顧みずなら可能ですが。