診療所と介護事業経営

指標の意味するもの

あんずパパ
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それでは経営分析を始めてみましょう。

一度に多数の指標を解説しても消化不良になりかねませんので、まずは、「安定収益力」から始めます。

安定収益力

1.総資本経常利益率

「総資本」とは、「貸借対照表の合計金額」であって、企業が経営活動を行なうのに、どれだけの資金を使っているかを示すものです。

早速問題発生です。会計専門家は、つい普通に使ってしまいますが、簿記会計を知らない医療・介護専門職の方にとって、「貸借対照表って何?」となりますよね。

「経常利益」とは、「損益計算」の過程で、法人税など特別の損益を計算する前の利益であって、経営活動によってもたらされた利益です。

またまた問題発生です。「経常利益って?、損益計算書って何に?」、ですよね。

従って、「総資本」に対する年間経常利益の率が仮に5%ということは、経営活動に投入したあらゆる資金で、一年間にその5%の利益を得たことを意味します。

更に、「何のことですか?」と言いたくなりますよね。

例えば、今ここに1億円の資金があるとします。これを銀行の定期預金にすれば、利率2%(現状は薄利ですが)で200万円の利息が付きます。また株式や土地に投資すると、順調にいけば、年率5~8%、10%以上も儲かるかもしれません。実際は、新型コロナウイルスの影響で落ち着かない中、ロシアのウクライナ侵攻で株や為替は乱高下していますが。

従って、事業に投資するからには、例えば製造業で6%以上、販売業で4%等、預金の利子を上回る利益率は最低限度です。極端な考え方ですが、利益だけが目的であれば、利子を下回る事業など止めてしまい「利率が高い預金でもしておいた方が楽でまし」、という事になります。

望ましいAクラスの目標は、製造業で○%以上、病院で□%以上、診療所で△%以上など、厚生労働省や医療関係の雑誌等に掲載されています。身近では、税理士事務所から手に入れることも出来ます。

上記から入手した指標は、あくまで参考値であり、どこのどの規模の企業、病医院を対象に平均値をはじき出しているのか実態は定かではありません。
医療法人か個人開業医か、急性期か慢性期か、有床診療所か無床か、院内調剤か院外調剤か等、自分の医療機関に一番近い指標を探し出してください。税理士事務所を頼るのが、一番正確かもしれません。

新規開業の場合以外は、他の指標も含めて、一番良い指標は独自の指標を過去の実績から決めることです。
人間も同じですが、身長と体重、体内脂肪等、体調が良いバランスには個人差があります。中年の場合、プチ肥満が健康とも言われています。税理士の協力の基、自病医院独自の健康な指標を決めることをお勧めします。

「貸借対照表」や「損益計算書」とは何か?研修会で、医療・介護専門職の方が理解しやすいよう解説しています。

あんずパパ
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興味がある方、ぜひ理解したいと思っている方、研修会にお呼び下さい。

2.損益分岐点率

「損益分岐点」とは、利益図表に示した損益トントン(儲けも損もない、ゼロ)の点のことをいいます。換言すれば、売上高線と総費用線とが交わった点となります。
実際は、自ら書いてみないとピンとこないかもしれません。好奇心がある方は、自事業所の試算表を基に作成してみてください。

この損益分岐点が、高い位置にあればあるほど経営は不安定で、少し売上が下がると赤字になる危険性があります。この位置が低いほど、その事業所は安定性があるということになります。

この位置のことを、損益分岐点率といいます。
望ましいAクラスの目標は、製造業・販売業とも70%以下です。低いほど良いですが、医療・介護業界とも、非常に高い位置にあります。
単独事業として介護事業を営んでいる法人は、毎月100%を行ったり来たり、という厳しい現状ではないでしょうか。

あんずパパ
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なかなか文字で解説しても理解するのは難しいと思います。目の前で一緒に計算しながらやってみませんか?

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