鬼に金棒(あなたが鬼 金棒は数字)
リーダーのための3数力とは、小学生の算数+-×÷の様な単純計算能力ではありません。下記の3つの事を数字で判断(数値化)できる能力の事を指します。
私は、これを「3数力」と表現しています。
『3数力』とは
1力:方向性(ありたい姿)を数字で示す能力
2力:環境を数字で分析・判断する能力
3力:現状を数字で分析・判断する能力
「3数力」を身に付ける事で、スタッフへの説得力・交渉力が高まり、自らの判断力も高まります。結果、チーム力が増し経営安定化へつながる大切な能力です。
ぜひ、スタッフの動機付けや自事業所の方向性で悩んでいるのであれば、リーダーの武器として一日も早くマスターしていただきたいと思います。
先日節分でしたが、鬼に金棒と言います。3数力は、金棒でもありますが、鬼にそれをうまく振り回す能力がなければ、金ではなくただの棒です。
3数力で理論武装
理論武装したリーダーの言葉には、説得力があります。
「3数力」の話法への活かし方は、
(1力:ありたい姿+2力:環境)ー3力:現状=やるべき事(対策・改善・行動計画)
の順番で話を展開していきます。
ありたい姿=目標・目的・ビジョン(クレド・ミッション等)
環境=医療・介護報酬改定、社会保障問題、超高齢化・少子化、新型コロナ、自然災害等々
現状認識=経営状態、患者・利用者数、スッタフ充足率、設備機器の整備等々
言い換えれば、この順番で頭の中を整理し、数字を言葉に織り交ぜながら話を展開していく。このブログを読み終えたならば、ぜひ一度、応酬話法(ロールプレイング)を試していただきたい。
スタッフのモチベーションを高める前に、セルフモチベーションが高まるはずです。
医療・介護の商品は人である
一般的な商売は、何か商品を売買することを生業としています。
「医療・介護を商売と言うとは何事だ!」、とお叱りもあるかもしれませんが、分かりすくご説明するためにご了承ください。
私は、医療・介護業界の商品は人だと考えています。まぜなら、人の行為(医療行為・介護技術等)によって、その対価を得ているからです。
働いているスタッフのモチベーションを高め、仕事に対する取り組み姿勢や考え方を正す事は、商品の品質アップ・マイナーチェンジや新商品開発と同じです。
経験年数に応じてスタッフの品質も自動的に向上してくれれば幸いですが、そうはいかないのが人間です。ベテランとしての熟練度は増すかもしれませんが、知識・技術・態度的能力まで向上するかは個人差も大きく、中には、態度が悪化していくスタッフもいます。
スタッフを一人でも多く人材から人財に成長してもらうためには、それなりの教育・研修・動機付けが不可欠です。
リーダー、幹部としての素養を身に付ける研修会
この業界の研修会は、ほとんどと言っていいほど専門的(医療・看護・介護知識や技術)な事ばかりです。一般企業の経営コンサルタントを経験してきて、リーダー・幹部としての研修会は、一般企業と比較すれば無いに等しいのではと感じています。
たまに開催されても、教育ではなく今日行くと言わんばかりに、参加者の頭の中を素通りして行きます。もとキャビンアテンダントの講師を招き、接遇の研修会が一時流行りましたが、私の知る限りでは、「勉強になりました。楽しかったです。」で終わりで、現場で学んだことを活かせている病院等は果たしてどれくらいあるでしょうか?
学んだ事を日々の実践に活かせなければ、研修会は費用と時間の無駄です。
なぜ参加したスタッフは実行しないのか?
「研修会に参加させていただきありがとうございました。大変勉強になりました。」と参加レポートをお礼かたがた提出してくれるスタッフ。今後に期待をしたくなります。
ところが、学んだ次の日から行動に何の変化もありません。あんなに「勉強になりました。今後現場に活かしたいと思います。」と言ってくれたのに、何故なのでしょう。
私の主観ですが、自らが変わらなければならない、変わろうと思っていないからではないでしょうか?
本当に必要で良い研修会とは、なぜ変わる必要があるのか、どうすれば変われるのか、変わったらどう良いことがあるのか、これらの事が伝わる、理解できる、そして実践につながる内容でなければなりません。
まずは、スタッフより先に経営者・リーダー・幹部に、この事に気付いてもらわなくてはなりません。
やり甲斐とは精神的報酬と金銭的報酬のバランス
経営においてもっとも重要な事は、貴病医院や介護事業所の「理念・使命感・ミッション」です。同じ志を持つ者同士の組織には、パワーがあります。
よく、経営をロで動く船に例えられますが、右にこぐ人左にこぐ人、こぐこと自をしない人が動かす船は、その内転覆するでしょう。なぜそうなるのか?
何のためにこぐのか、どこへ向かっているのか、何のためにそこへ向かうのか、たどり着いたらどんな楽しいことが待っているのか。これを明確に伝えている船長の船は、船員のこぐ方向は皆一緒で、推進力にも素晴らしい勢いがあります。確実に目的地に到着し、宝物やご馳走にあり付ける事でしょう。
皆さんの病医院や介護事業所には、全員が一方向に向かう明確なミッションやビジョンはありますか?
これがある事業所は、何を大切にしどう動けばいいのか、現在の方向性や政策は正しいのか、日々の行動は計画通りに行っているか等、見えてきます。あとは、皆さんご存知のPDCAサイクルで事業を動かせばいいのです。
やり甲斐とは、給料が高ければ高まるものではありません。ワークライフバランスも大切ですが、私は、精神的報酬(ミッション)と金銭的報酬のバランスが何よりも大切だと思っています。経営者も雇われも関係なく、全員で同じ目標・目的を達成した時、勝ち取った成果(精神的報酬と金銭的報酬)や喜びを分かち合う。
良い職場には、物心共の豊かさのバランスが必要です。理念に基づいた計画(政策・戦略)を実践した結果、スタッフが「やって良かった。この職場で働けて良かった。」と感じなければ、職場風土は良くなりません。
たまに「クレド」を作成しましたと、それで満足している経営者(医師等)もいますが、魂は入っていますか?魂とは、政策や日々の行動にそれが表現できていますか?という事です。そして肝心なん事が、実践した結果=成果を適正にスタッフに配分していますか?経営者だけが潤って言いませんか?
適正配分の順番は?
適正配分とは言っても、この「適性」が難しいですね。
院長先生の病医院には、適正に配分する仕組みはありますか。なければ、ぜひ作成しましょう。但し、税理士やコンサルタントの先生と院長だけで作成してはいけません。規模にもよりますが、必ずリーダーを参画させ、議論して作成しましょう。経営陣だけで作成した成果配分の仕組みは、「どうせ経営者に都合のいい仕組みだよ。」と、スッタッスに浸透もしませんし理解も得られません。
但し、スタッフも利益の配分の順番がある事は知っておくべきです。
病医院に利益が出た場合、
国 ⇒ 銀行 ⇒ 患者・利用者(地域)・設備機器等 ⇒ 職員 ⇒ 経営者
の順です。利益が出たから、即自分たちと言うわけには行かないのです。
一般職員ほど、利益出たら給与が上がると単純に考えます。適正に成果を配分するためにも、経営者や幹部は、数字で物事を判断できる能力を身に付ける、身に付いていなければ養成する必要があります。
数字が理解できれば、リーダーはもっと仕事が楽しくなり、スタッフの動機付けもやりやすくなるはずです。チャレンジしてみましょう。
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