ルアーフィッシング

魚の習性を知る(顧客を知る)

マーケティング・リサーチ

いつどんな場所で、どんな魚が釣れるのか?経験だけでは、分かりません。
魚に聞ければと思いますが、魚の気持ちになる事も不可能です。
魚は色が見えているとか、ある魚は音に敏感だとか言う方がいますが、本当の所どうなんでしょうか。
自分で魚の習性を研究することも出来ませんので、魚図鑑や釣りのノウハウ本で少しは学んでいます。
海は、とにかく広い。狙いの魚がどこに集まるのか?季節や潮の流れを読み、ポイントを探し出すのは至難の業です。少しでもポイントを当てる為には、魚の習性を知る事は重要です。
本で学んだ知識と天草の海で約30年近く船釣りをしてきた経験から、想像力をフル回転させながら毎回ポイントを探しています。
とは言っても、自分だけでのポイント開拓は大変です。裏ワザとして、年に数回、魚種別に釣らせることが上手い船頭さんの遊漁船を利用します。
どんなにテクニックや道具が良くても、肝心の魚がいなければ話になりません。営業も業種・業態での違いはありますが、クライアントは誰か、趣味嗜好は何か、ニーズや流行は、市場はどこか等々、狙った魚を釣る為の理屈とそう変わらないと思います。
ポイント調査は、市場調査やマーケティング・リサーチと似たところがあります。裏ワザは、できる先輩に同行させてもらいノウハウを盗むことと同じです。

魚も人も変化のある所に集まる

変化のある場所とは、自分の食料となる餌(ベイト)が集まる場所です。
♦浅場の砂泥底には、貝類・エビ・カニ・ゴカイが棲んでいます。
♢汽水域(河口域などの塩分濃度が薄い海)には、ハゼ・セイゴ・カレイ・キス・アナゴ・キビレなどが棲んでいます。
♦駆け上がり、ゴロタ石、海藻、根と呼ばれる沖の岩礁には、アジ・イサキ・カワハギ・メバル・鯛・イナダなどが群れています。
♢岩の割れ目には、カサゴ・オオモンハタ・アコウなどが棲んでいます。

餌は、潮上から流れてきますので、魚は潮上に口を向けて泳いでいます。魚の体形でも理解できると思います。
機会があれば、川の流れの中で泳いでいるコイやフナを見て下さい。下流を向いて泳いでいる魚はいないはずです。魚は、移動時や流れの強さに押し流されることはあっても、バックは出来ません。酸素を取り入れる為にも、口から潮を通しエラから出すことが生きるために不可欠な行為なのです。

人も、経済が集中する東京や大阪等の都会を目指した人は、数知れません。魚種によって好む餌が棲む場所が違うように、業種・業態によっても顧客となる人が集まる場所は違うと思います。
農業が盛んな町、漁業の町、製造業の町、製造業でも自動車なのか半導体なのか等、そこで働く人の趣味嗜好や日常生活にも違いがあるでしょう。
経営コンサルタントの会社で仕事をしている時、30代前半に熊本市から静岡県浜松市に転勤となりました。赴任第一日目に、地域の差を感じる出来事がありました。それは、飲食のお店が22時頃にはほとんど閉まっており、タクシーも捕まらない、という体験です。
熊本では、考えられません。飲み屋さんは22時からが本番で、タクシーは道路に邪魔になるほど待機しています。
コンサルタントなので、即その違いを調べました。色々違いはありましたが、もっとも大きな理由が、生活習慣の違いです。どちらがいいとかではなく、熊本の中小企業、私がいたコンサル会社もそうでしたが、普通で夜の23時頃、早くて20時に仕事が終わっていました。それから飲みに出かけます。浜松は製造業の町で、17時にはスパッと仕事が終わります。17時過ぎから飲み始めたら、22時にはもう家に帰るでしょう。

魚の五感(顧客の五感)

魚は、餌をどうやって探しているのか?その餌を食べたくなる、選ぶ理由は何なのか?
カツオやマグロなどの高速に泳ぐ魚は、小魚の遊泳音をキャッチし、これを目で追って食べるそうです。誰かカツオに聞いたのでしょうか?研究者には、頭が下がります。
魚も数多くの種類があり、それなりの特徴があります。それを知るだけでも釣果に影響が出ます。
♦透明度の良い潮を好む魚は、目が利くそうです。
♢暗いところを好む魚は、聴覚に優れているそうです。
♦濁っている場所を好む魚は、嗅覚が鋭いそうです。

あなたが狙っているお客さんは、何を好む魚でしょう。魚に例えるとは、失礼かもしれませんが、これはあくまでも営業を理解しやすくするためです。
商品も買いたくなる理由は何か、考えてみましょう。パブロフの「条件反射の実験」が参考になりますが、購買動機は、欲求(本能)が基になっているそうです。
パブロフの条件反射を忘れた方は、一部をご紹介しますので思い出してください。ベルを鳴らした後に餌を毎回与えている犬は、ベルがなると餌がもらえると思い込んでいるのでベルが鳴っただけでヨダレが出るようになる。こういう条件反射を、ロシアのパブロフという人が発見したので「パブロフの犬」と呼ばれるようになりました。

「本能的な反射」と「学習して得られる反射」

動物や人間には、「本能的な反射」と「学習して得られる反射」があるそうです。
本能的反射とは、「無条件反射」とも言われ、例えば熱い物に触れた時、手を反射的に引っ込めます。転びそうになった時、反射的に手をつきます。
また、学習して得られる反射が「条件反射」の事で、パブロフの犬も梅干しも一緒です。梅干しを見たり想像するだけで、唾が出てきます。
魚の場合、食い気はないのに釣れる事があります。丁度目の前にルアーが来たので、腹は減っていないのに無条件反射で食いついてしまう事があります。
人の場合、本能で感じてもらうか知識で判断してもらうか、はたまた両方を刺激するか、営業力の使い分けの参考にしてください。皆さん、ちょくちょく衝動買いをしてませんか?

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