診療所と介護事業経営

資格で賃金が決まる!? 鬼に金棒

あんずパパ
あんずパパ
有資格者の皆さん。資格と賃金の関係を考えたことありますか?

資格と賃金の関係を知る(理解する)

 

①資格があって仕事が出来る人

②資格があって仕事が出来ない人

③資格がなくて仕事が出来る人

④資格がなくて仕事が出来ない人

あなたが経営者なら、誰に一番高い給料を支払いますか?

幹部研修会の参加者に、必ず問いかけていることです。
他人のこととなると、私と同意見の幹部ばかりです。

長い間、資格で給料をもらっていた影響が大きく、実力での評価は受けてこなかったからなのでしょうか。
この業界で約30年仕事をしての私の実感ですが、②の人も資格者集団である病医院・介護事業所には、それなりに存在しているように感じます。

生産性についての説明は、実践例の「介護事業の経営安定のための改善策」をご参考いただきたいと思います。
言葉で説明するより、一緒に電卓をたたく方が理解しやすいと思います。

どんな資格を持っていようが、いくら数多くの資格を持とうが、「生産性が上がらなければ給与は物理的に上げようがない」と言うことを、理解していただかなければなりません。

―あなたの評価は資格ではなく、生産性で決まる―

資格は道具であり採用条件にすぎない

その道具をいかに使いこなしたかが生産性であり、あなたの評価を決める!

 

やり甲斐のある仕組=人事効果=能力主義

日本国民としては、貧富の格差は小さいほうがいいと思いますが、次元が違って申し訳ありません。
給与には、意味のある格差(生産性の差)を付けるべきだと思っています。

能力がある職員ほど、給与に差がなければ元気がでません。能力があっても、評価されなければ発揮する気にもなれません。

医療業界が、「護送船団方式、聖域」と言われた時代はとうに終わりました。病院の数は、私がこの業界で仕事をするようになってから20年間で、1万件代から8千代と減少し続け、有床診療所も減少。無床の診療所は増加していますが、どんぶり勘定で儲かるほどの甘い業界ではなくなりました。

この厳しい環境の中、何かしなければと、多くの医療機関が給与の仕組みを年功序列から能力(成果)主義に変更した時期がありました。
私も能力主義(一般企業では当たり前だったので)賛成派として、平成9年頃より能力主義導入を推進してみました。結果は、失敗でした。

その要因はいくつかありますが、最大は評価者の育成に困難を要したことです。
評価する以前に、診療所や介護事業所の幹部レベルでは、職能要件書の仕組みそのものを解釈すること自体難しいことでした。
能力がないわけではなく、畑違いすぎたと思っています。

また、もともと個人を評価する色合いが強いシステムなので、団体で行う業務である医療・介護業には不向きだとも思いました。
さらに、男性より集団活動が得意な女性職員が多い職場には、向かない仕組みとも思いました。

そこで私が考え改良した能力主義は、給料の「基本給」を「貢献給」と「能力給」に分け、貢献給は今まで行っていた年功賃金を継続し、能力給は絶対評価として職能用件書を職種別に作成し、等級で差をつける仕組みです。

また賞与は、「経営方針書に記載した具体策」を達成するために記入した、「個人別目標(チャレンジ)シート」の達成度によって利益を分配する方式です。

但し、間違ってはいけないことは、「年功序列」も経験を積めば能力が高くなるという「性善説に基づいた能力主義であるということです。

給与の仕組み3分類

給与の仕組みを大きく分けると、下記の3つに分けることができます。

①年齢・勤続を中心とした賃金…年功給

人事院勧告がお手本=年功序列賃金
休まず、遅れず、働かず、一生平穏無事

 年功賃金の特徴
  毎年確実に上がる
  みんな一緒の賃金
  新卒採用、定年まで雇用

②仕事を中心とした賃金……職務給
人(年齢・資格)に付けた賃金から

③能力を中心とした賃金……職能給
  仕事・能力に付けた賃金へ

皆さんの職場の賃金システムは、いかがでしょうか?
考えたことも見たこともないという方は、ぜひ自分の職場の賃金規程を確認してください。

あんずパパ
あんずパパ
「鬼に金棒」と言う話を研修会でしています。資格は金棒で、皆さんは鬼です。どんなに金棒が素晴らしくても、それを使いこなす鬼が振り回すことができなければ、ただの重荷です。皆さんの資格は、強力な武器としての金棒になっていますか?