3.限界利益率
①「限界利益」は、「売上高」から「変動費」を引いたものをいい、その売上高に対する限界利益の比率を「限界利益率」といいます。
②「変動費」は、販売業の場合は、仕入商品(会計上は売上原価)と荷造運賃などです。医療業の場合、医薬品費・検査委託費・診療材料及び入院の場合の給食費などのように、売上高に比例して変動する費用のことです。
介護事業の場合は、通所・訪問等、事業形態で異なりますが、私は、医師や介護従事者の人件費も変動費にしています。
③なぜこの変動費を引いた限界利益が重要かというと、売上高の増加に比例して増える利益が、この「限界利益」だからです。
つまり、 『純利益 = 限界利益 - 固定費』
ですから、限界利益を最大にすることが、経営活動の最大のポイントとなります。言いかえれば、「利益率の高い」商品を多く販売するということです。
④従って医療で「利益率が高い」とは、診療行為別(初診・再診・注射・検査・画像診断等、又は診療科)に限界利益のより大きな行為(科)に重点をおけば、それだけ業績が向上します。診療報酬点数の高い看護基準等を取得することもそうです。
介護事業の場合は、人件費を変動費と考えれば、人件費が高い職員ほど、介護度(介護報酬)が高い利用者を担当しなければ、限界利益率は下がってしまいます。
例えば、訪問介護であれば生活介護より身体介護、居宅支援であれば要支援より要介護3以上と、同じ人件費をかけるならより単価の高い仕事をこなす(利用者を増やす)という事です。護小規模多機能型居宅介護では、平均介護度が平均2より4という事になります。
また、各種加算算定や加算基準Ⅰの条件を満たすこともそうです。
⑤望ましい限界利益率は、製造業で60%、販売業で20%以上(Aクラス)というデータもあります。
病医院の場合は、急性期か慢性期か、外科か内科か、院外薬局か院内薬局か、個人か法人か等、詳細に区別した指標はありません。
介護事業も、訪問看護、訪問介護、通所リハ、通所介護、看多機等様々で、大中小の規模でも違ってきます。
やはり先にも述べましたが、「独自の指標を持つ事」をお勧めします。
地域密着型サービス系の介護事業(小多機等)には、限界利益率が100%を越える事業も存在します。
4.売上高増加指数
①これは説明するまでもなく、売上高の増加率を表します。これが大きいことは、それだけ集患力(事業内容に変更がない場合)が強いことを意味します。
②望ましいAクラス目標は、120%以上です。高いほど良いですが、施設の規模等、限界もあります。重要なのは、増加させるための政策・戦略ですが、昨今、診療報酬・介護報酬改訂の度に下がる傾向にあり、厳しい業界となってきているのも事実です。
ここでも「限界利益」や「変動費」「固定費」等、なじみのない言葉が出てきました。医療・介護現場のリーダーであっても、初めて聞いたという方も多いのではないでしょうか?やはり、自病医院や介護事業所の試算表を基に、「試算表のこの欄が変動費で…。」という具合に説明しないと理解は難しいと思います。