育てる植物より、育つ植物を見分ける
確かに土は、植物を育てるためには重要です。先にも述べましたが、都合よく最初から肥えた土壌は用意されていません。
また、育てる前に、もっと重要なことがあります。私の主観ですが、「育てる」植物よりも、まずは、育ちやすいと言うか「育つ」植物であるか、が重要です。
「育つ」植物の代表は、雑草です。雑草は、強い。食べられるものもありますが、苦くてまずい。
野菜は、もともと雑草だそうです。それを人間が、食べやすい味にし、大量に栽培できるように品種改良したものです。
野菜は、育てるために土壌の改良、温室での温度管理、肥料や虫の駆除等、手を加えて加えて、やっと商品として消費者の元に届きます。野菜は皆みずみずしく、美味しくて当然であるかのように勘違いしそうです。
何度も申し上げますが、私がここで主張したい事は、「育てた」野菜よりも、「育つ」野菜であるかが、もっとも重要だということです。
与えられた環境で育つすべを知る
雑草には、育つ環境は選べません。今住んでいる町では見かけませんが、私の田舎では、タンポポの花が風に乗って飛んできます。
自ら飛んでいるなら、土地が肥えていそうな好きな場所に着地できるかもしれませんが、タンポポの運命は「風任せ運任せ」です。
自らが置かれた環境で、生きるすべを見出さなくてはならないのです。
コンクリートの小さな隙間から這い出してくる植物が、たまに話題に上がります。ド根性大根がそれです。
私の職場には、コンクリートの隙間から菜の花が咲き誇っています。
雑草に足でもあれば移動も可能ですが、日当たりは悪く、土は痩せ、水の確保も難しい場所かもしれません。
日当たりが悪ければ、一生懸命、太陽に向かって茎を伸ばすしかありません。水の確保が難しければ、一生懸命、土深く根を伸ばす。
一生懸命にならなければ、死んでしまうからです。
日々教育に携わっていて感じることですが、育つ素地がない職員は、いくら教育(肥料)をやっても成長しません。
何かにつけ、職場環境や人間関係や待遇等(土壌や場所)に不満を抱いています。
表紙のフジの花は、昨年のものです。今年も元気に新しい葉が伸び始めています。昨年設定を間違ったのか、花が今のところ出てきません。
藤は、葉が出る芽と花が咲く芽はそっくりで、説明書に花芽を間違って落とし過ぎないよう注意書きがありました。
元気ではありますが、ある意味今年は失敗したかもしれません。
年単位、月単位での育成
そうは言っても、自ら育つ人ばかりが運よく集まる職場も存在しません。
まずは、一人でも多くの雑草タイプ(食えないという意味でなく、伸びるタイプ)の職員を確保し、その人達に品種改良を加え、野菜タイプの職員を育成していく必要があります。
そのためには、農耕法と同じように、数年単位で土壌の改良(社風づくり)から始め、いついつまでには、収穫をするという、目標と計画と実践が必要です。
事業計画や人材育成は、どうやればいいのか?
悩んでいる管理者や幹部の方、野菜や果実を育てるつもりで計画を立て、育てるために必要な土壌改良、剪定、肥料を与え、害虫駆除を実践してみてください。
極端かもしれませんが、植物も人も同じ生き物です。観賞用なら別ですが、育つ年数に違いはあるものの、最終的に実りが毎年継続的しなければ、育てる意味はないと思います。
《人材育成と農耕法》
《人材育成》 | 《農 耕 法》 |
1.期待される社員像 | 期待される実り |
2.自己啓発 OFJT 社外研修 通信教育 OJT 社内研修 |
自己成長力 品種改良 自然界の恵み 太陽、雨、落ち葉、バクテリア 温室、消毒、肥料、水やり |
3.会議・ミーティング | 剪定、間引き |
4.育まれる社風 | 土壌改良 |
5.組織の活性化 人的基盤の強化 |
栽培の量 植物の生命力 |
6.業績成果の質的向上 人材の体質強化 |
実の大きさ、糖度、色 寒さ厚さに強い |
7.ビジョンの実現 | 命の未来へのつながり |
この回で、釣りから学ぶPDCAの机上論は終了となります。ぜひ、私の遊漁船で実践論を実体験しませんか?