釣りから学ぶPDCA

人育ては農耕法(ファーマー的に)で②

あんずパパ
あんずパパ
野菜作りは期間が短いので、栽培期間が長い果樹の栽培を通して、教育を考えてみます。

狩猟法である魚釣りに比べれば中身が薄いかもしれませんが、人材育成の考え方として参考にしていただければと思います。

育てる基本= 何を育てたいかを決める

果樹の栽培は、期間が非常に長いので簡単ではありません。定期的な手入れと、その特性を理解しなければ、私のように何度やっても枯らしてしまいます。

まずは、植えるスペースや目的に合わせて、育てられる・育てたい果樹を決めることが先決です。

人材育成も同じです。仕事の目的達成のために、どういう人材が必要か。
目的が、まず明確でなければ、どういう能力の職員が必要で、どう育てればいいのかが見えてきません。

職員の現状認識(棚卸し)を正しく行い、目標達成のためにその職員に必要な知識・技術を教え育てることが重要です。

果樹に適した条件

「土壌の深さ」「水はけ」「日当たり」は、特に重要条件です。甘くておいしい果実を収穫したいのであれば、日当たりのよい場所は欠かせません。

但し要注意!すべての果樹が、日当たりを好むとは限らないのです。職員にも表舞台で活躍する人もいれば、裏方として活躍する人もいます。

どちらも重要な人材ですが、適材適所はその人を活かす場として、重要な選定の要素です。

植え付ける時期

果樹は、柿やリンゴなどの落葉樹、ミカンやキンカンなどの常緑樹に分けらます。
落葉樹なら晩秋から2月頃までに、常緑樹なら春先に植え付けるのが理想だそうです。

人の採用に例えるなら、新卒で採用したほうがいいか、中途採用がいいか、職種や専門技術が必要か否かでも違ってきます。

いい苗を手に入れる

果樹は、野菜と違って、一度植えると数年から10~20年以上栽培することになります。

だからこそ、最初の苗木はいい物を選びたい。

いい苗を選ぶポイントは、何よりも信頼のおける店で購入することです。
看護師や介護福祉士等で言えば、信頼おける人材紹介会社でしょうか。

具体的には、「こまかい根がたくさん出ているもの」「つぎ木箇所が盛り上がっているもの」「芽や葉が充実しているもの」を選ぶといいそうです。その逆であれば、避けた方がよいと、植木市のある店主に教わりました。

職員も同じで、いい人材を選びたい気持ちは同じです。採用面接や試験で選定してはいるでしょうが、入社してからでないと分からないのが現実です。

特に介護職は、有効求人倍率が驚くほど高くなってきている昨今、ますますいい人材を採用するのが、難しくなってきています。

面接や履歴書だけで、根がしっかりしている(仕事観や今までの仕事への姿勢を聞くことで多少は確認できます)か等、見極めるのは難しいものです。

収穫までの栽培カレンダー

何を植えたいか決め、植える土壌と場所を決め、いい苗を手に入れたら、いよいよ栽培のスタートです。

しかし、いままで記した諸条件がそろったとしても、栽培をおろそかにしてしまっては、収穫が出来ないどころか、途中で枯らしてしまいます。
人材育成で言えば、栽培担当者は管理者等の幹部です。

果樹には、沢山の種類がありますが、よく桃栗3年、柿8年ということから、収穫まで時間のかかる柿を選んでみました

職員の場合、教育研修がこれにあたると考えてみてください。教育をおろそかにしては、いい人材は育たちません。

新入社員教育から始まり、様々なスキルアップを目指して育てていく必要があります。果樹に難関栽培スケジュールと比較してみましょう。

年間の栽培作業スケジュール

果樹によって育成スケジュールは違いますが、大まかに

植え付け ⇒ 開花 ⇒ 施肥 ⇒ 摘花  ⇒ 受粉

⇒ 摘果 ⇒ 収穫

その過程で、整枝・剪定、落葉病・ヘタ虫の消毒等、様々な作業があります。自然に任せていては、美味しい果実は実りません

柿の場合よく聞く話ですが、「昨年は豊作だったのに、今年は実がついていない。裏年?」。これは、隔年結果という現象で、前年に実を付け過ぎると、翌年に収量が極端に減ってしまいます。

表年・裏年といっても、年により天候の影響もないとは言えませんが、株の疲れが原因です。株の疲れを取るためには、摘果と剪定をして毎年平均的に収穫するよう調整する必要があります。

職員の疲れに気づいていますか?
疲れを取ってあげるためには、昇給や昇格、飲みニケーションやヒヤリング等、必要な心の調整をしてあげる必要が人間にもあります。

年単位の剪定

2~3年目は、1~3月の葉が落ちる時期に新梢(しんしょう)の先端を1/3ほど切り詰めながら、樹形を整えていきます。

その際に、芽をよく見て枝の内側についている芽のすぐ上を切るようにします。その他の側枝は、根元から切り落とします。

3年~4年目の冬は、同様に新梢の先端から1/3のところで切り詰め、この年に伸びた側枝も根元から切り落とします。

また、2年目以降は、3月と10月に化成肥料を30g/㎡程度施します。

5年目になったら、冬に2年枝の先端を切り、3m程度を目安に樹高を止めます。以降、毎冬同じ場所を剪定して樹高が高くならないようにします。

前年の枝には実が付かないので、枝の先端を切り落として新しい結果母枝に更新します。

職員も、入社時の研修会、3~5年での中堅としての研修会、そしてリーダー研修会と、経験年数や立場等に応じて教育研修の内容や、やり方を変えていく必要があるのと同じですね。

受粉・摘花・摘果・渋抜き

実をならせるためには、不可欠な作業が受粉です。花が咲いても受粉がなければ実はなりません。

また、受粉が成功しても、木の育てる能力以上の実がついては、未熟果になってしまいます。柿の場合、渋抜きを忘れてしまっては食べられません。

美味しい柿の実を口にするまでには、それなりの年数、手をかけなければならないのです。

事業の成功も職員育成も同じですね。「手塩に掛ける」と言いますが、皆さんの職場では、スタッフにそれなりの手をかけていますか?

あんずパパ
あんずパパ
せっかく実った果実をカラスに横取りされたら大変です。スタッフもやっと育ったのに転職?!というご経験はありませんか。そこも肝心ですね。