予算会計(管理会計)の目的
目標利益を叩きだすための営業活動(夢も含め)を計画し、計画通りに活動した場合の売上と経費の結果を予測し数値化します。
この数値で作成した損益計算書が、ここで言う予算書となります。
《予算書作成の目的は》
☆日々の経営のバランスを見極める①(チェックする)指標(物差し)として活用し、
☆経営のバランスが崩れないよう、実際の営業活動及びその経営資源(人・物・金)を②コントロールし、
☆崩れた場合は、その③原因がどこにあるのか明確にし、
☆④その対策を打つことにあります。
予測の数字である以上、実績と違って当たり前です。
1円たりとも違わない予測は、借入元金やリース料等、未来の支払額が確定している意外は不可能です。
大切なことは、「予実績が違う事をチェックする」のではなく、「予測と実績の違いの数字が想定内か否か、またその原因は何か。」を明らかにすることです。
地震や津波の予測ではありませんが、数字の予実績の誤差は、人と物の活動に問題がなければほとんどが想定内に収まります。
想定内とは、どのくらいの違いまでをいうのか。これは、一概には言えません。
私の場合、月千円代で終わる経費は、千円単位。万円代は、万円単位。10万円代以上は、5万円以内と決めています。
自分の病医院・介護事業所の日頃の数字から、想定内(許せる誤差)を決めておく必要があります。
予算書を書くときの基本としている事
私が予算書を書くときの基本として、必ず守っていることがあります。
例えば売上は、インフルエンザ等の流行に左右されるような当てにならない(安定ではない)収入は予測に入れず、より確実な数字だけを基に計算しています。
また経費は、少しでも値上がり等のリスクが予想される場合は、上がる物として計算しています。
職員の増員、福利厚生では、職員旅行や各種レクレーションも開催すると想定して数字化しています。
一言で表現すれば、「売上は厳しく、経費は甘く」です。
予算を立てる前に
予算を立てる前に、試算表の意味を理解することが先決です。
会計の専門家を養成するわけではありませんが、試算表、最低損益計算書の意味が分からないと予算書は書けるようになれません。
師長や管理者を中心に、「試算表研修会パート1・パート2」という研修会で、試算表と月次決算書との違いを解説しています。
具体的には、幹部に予算書を書けるようになってもらうために、下記の順番で研修会を進めています。
(1)貸借対照表の意味を知る
資金の動き、財産状態を表す
(2)損益計算書の意味を知る
経営活動報告書
(3)月次決算書とは
実際の活動結果
(1)(2)を合わせて月次決算書と言う
(4)月次予算書とは
予想の活動結果
(3)と(4)には、必ず差異が発生する
月次毎に決算と同じように、各勘定をより正確な数字にするためには、会計の専門的知識が欠かせません。
例えば、経費の中で、賞与・賞与分の社会保険料、固定資産税、車両保険、行事費用等、支払月に経費として全額計上した場合、その月は大赤字になってしまいます。
これらの経費は、年間で按分すべき経費分です。
この他にも年間分を支払いベースで計上している経費がある場合は、月毎に按分をしなければなりません。
また、複数の事業所を運営する医療法人等であれば、管理部門の人件費、家賃や水道光熱費などの一括で支払っている経費の按分等、施設間の振替も必要となります。
非常に面倒で事業所の幹部に計算させるには、ムリがあります。
私が関わってきた事業所は、月及び施設間の按分は管理部や事務長又は税理士レベルで計算し、具体的数値を幹部に示しています。
予算書を少しでも正確に作成するためには、経理(管理)部門と幹部の役割分担と協力体制が不可欠です。餅屋は餅屋です。