診療所と介護事業経営

バランスが命「生産性と賃金と労働時間(休日)」②

あんずパパ
あんずパパ
前回の続きです。頭が痛くなる話かもしれませんが、ぜひ興味を持ってください。

ムダを発生させた場合の賃金への影響を知る(理解する)

新人研修会の所で記したように、生産性の研修会では、アンプルの破損等、身近なムダを題材に現実味が伝わるよう解説しています。
極端に表現すると、「アンプルの破損=あなたの給与の原資破損ということです。

売上の元となる経費=「売上原価」と「ムダ」の違い、「ケチ」と「ムダ」の違い、をしっかりと理解できると、電気やエアコンのスイッチ一つ口やかましく言わなくとも、自主的に管理してくれるようになります。

変動費と固定費の違い(意味)を知る(理解する)

変動費⇒医薬品費・委託検査費・医療材料・給食費等

変動費とは、売上と比例して増減する経費の事です。

固定費⇒人件費・水道光熱費・地代家賃・リース料等

固定費とは、売上と関係なく必要となる経費の事です。

月給は固定費
賞与は変動費へ ⇒ 経営のバランスを保つため

ここで、もう一押し説明しているのが、固定費の中身です。
私は、固定費を「外部固定費」「内部固定費」の2つに分けて説明しています。

「外部固定費」とは ⇒ 支払先及び交渉相手が外部である固定費

「内部固定費」とは ⇒ 支払先及び交渉相手が内部である固定費

つまり、固定費を削減するとした場合、外部より内部がやりやすいという事です。
固定費は、売上と関係なく必要となる経費ですが、人を商品としている医療・介護事業の場合、人件費を売上原価(変動費)と考えてもおかしくないと私は思っています。

製造業の場合、製造工程にかかわる人件費は、「製造原価」(変動費)です。
それと同じ考え方で、直接、診療行為や介護行為に携わる職員の人件費は、「医療・介護原価」(変動費)であると研修会で説明しています。

だからと言って、人件費を丸ごと変動費にしてしまえば月給が毎月乱高下し、職員の生活が不安定になってしまいます。そこで私が進めているのが、月給は固定費のままで、賞与を変動費化することです。

賞与は売上と言うより、利益に応じて変動する経費とみるべきです。
特に医療業界のスタッフの多くは、「賞与は毎年決まった基本給の倍率でもらえるもの」と、勘違いしている人も多くいます。私の研修会で感じたことです。

ある医療業界について書かれた本に、医師会の給与の仕組みが公務員規程をまねて始まり、それを多くの病医院がまねたのでそうなったとありました。
本来、医療機関は民間企業なので、賞与は業績に連動するのが当たり前なのですが。

正しい利益計画を知る(理解する)

 

売上-変動費-固定費=利益
     ⇒ 売上目標を先に立てるのは間違い

 

《正しい利益計画の立て方
{必要利益+固定費(人件費含む)}÷限界利益率=目標売上高
必要利益から考える

上記の計算式にあるように、事業計画書の書き方は、売上から始まるケースが多いのではないでしょうか。
売上の根拠もなく、単純計算で前年比○○%アップという具合です。同じく、経費も前年比〇〇アップ又は削減という計算です。

私が、幹部研修会で説明している予算書作成は、まず必要利益を計算するのが最初です。売上だけがどんなに伸びようと、「必要な利益」が獲得できなければ、何の意味もない事、黒字倒産があり得ることを教えなければなりません。

詳しくは、私までご遠慮なくお尋ねください。ほとんどの研修会参加者が、「利益から先に考え始めることについて、初めての体験です。」と答えます。

そして最も重要なことが、「組み立てた数字の根拠」です。
この根拠を示した文書が、経営方針書となります。

目標売上を達成するために何を実行するか
=経営方針書=年間実行計画書(戦略)

あんずパパ
あんずパパ
事業計画書は数字遊びではいけません。経営方針書は、絵に描いた餅ではなく行動計画書です。